文部科学大臣に対する要望書の提出後の記者会見での遺族コメント

記者会見

まず、今から記者会見でお話しさせていただくことは、全て口を無くした息子の代弁者としてその父親が話をさせて頂いているものとしてお聞きいただきますようよろしくお願い申し上げます。

そして、ここにおられる議員の先生や、マスコミの方々もどうか中学2年生に気持ちに戻していただき、中学生の子供の目線に立ってお聞き願います。何卒お願いいたします。


私の息子は、平成23年10月11日、自宅マンション14階から飛び降り自殺を致しました。当時通っていた中学校では、「いじめの事実は確認できていない。」としていました。

しかしその翌日の夜、同じ中学校に通う生徒の母親の方から、息子の自殺はいじめが原因だとの報告をいただき、同級生によるいじめを苦にして自殺したものと考えました。

そこで私は、平成23年10月13日、皇子山中学校及び大津市教育委員会に対して「いじめが有ったとの情報を得た」との報告をし、在校生徒を対象としたアンケートの実施を求めました。

私はとにかく途中経過でも良いから出来次第アンケートを手渡しして欲しいとの旨を伝えました。その結果、途中経過とされる被害者・加害者の実名が載ったアンケートを平成23年10月19日に手渡されました。そこに書かれていた内容と量を見た時に、吐き気すら覚えたことを今でも強く覚えています。

最終的に完成したアンケートはいつ頂けるのか尋ねたところ、平成23年10月24日頃になるとの事でした。

再度平成23年10月24日に皇子山中学校に出向き、最終取りまとめたアンケートとして手渡されましたが、そのアンケートは生徒の実名部分がマジックで消され、「誰が」「誰に」といったことが特定出来なくなっていました。

そして伝えられた内容は、10月19日に渡された実名入りのアンケートを返して頂き、本日渡されたアンケート(実名部分が黒塗りされた)と差し替えてほしいということでした。また、皇子山中学校長宛に「今般、提示されました資料・情報等につきましては、守秘すべき個人情報等が含まれていることを認識し、取り扱いには十分な注意をすると共に、部外秘とすることを確約いたします」という旨の確約書に署名押印を求められました。

私はその書面に記名押印しなければこれらのアンケートを手にすることが出来ないのだと思い、その書類に記名押印いたしましたが、19日に渡された実名入りのアンケートの返還は致しませんでした。

私はこのアンケートを息子広樹の同級生らからの聴き取りを進めるために使用したかったのですが、記名押印したこの確約書に書かれた「部外秘とする」ということになっていたので、調査は満足に進みませんでした。

そこで私は、自由に第三者に見せることのできるアンケート結果を入手するべく、平成23年11月22日、大津市教育委員会に対して個人情報開示請求を行い、アンケートの開示を求めました。

しかしこれに対して平成23年12月7日に大津市教育委員会より開示されたアンケートは、アンケートの枠取り以外の全てが黒塗りでありました。

子供たちが必死で息子に起こっていた事実を伝えようとしたアンケートを手にしながら、「確約書」を盾に真相究明すら出来なかったのです。

アンケートに書かれた、何人もの生徒さん達からの 息子が受けた加害者からの執拗ないじめに対して、それを解明すらしてやることが出来ず、その事実を手にしていながら、何もしてやれない親としての無力さを、息子に対して詫びるしかありませんでした。

学校がだめなら警察をと門を叩きましたが、「被害者が亡くなっているうえでの調査は難しい」との理由から被害届も受理していただけず、行き場の無くなった私は「提訴」するしか方法が無かったのが昨年末の状況でした。

アンケートの結果には、驚くようないじめの実態が赤裸々に語られていました。息子が死を選んだ理由を知りたい、その真相解明を中途半端なまま終わらせたくないと、毎日毎日、繰り返し繰り返し、何度もアンケートを読み返しながら強く思いました。私はこのアンケートを持って、息子の同級生や学校関係者のご自宅を一軒一軒回って、内容を確認したいと考えました。

とにかく、私は息子が自ら死を選んだ真相を知るため、あらゆる手段を尽くして調査を自分自身の力で進めようとしていました。最近になって滋賀県警が強制捜査に入った際に押収した学校や教育委員会の資料が見ることが出来、やはり学校や市教委がいじめやその対応に関する情報をひた隠しにし、私たち遺族に真相を知らせなかったことがその背景にあったことが分りました。

もっと早く、もっと自由に、そしてもっと広く、アンケート結果を使わせてくれていれば、私は早くから真相の究明に乗り出すことが出来たはずです。

アンケートが公になるまで、私は悶々とした気持ちから完全に解き放たれたことは一度もありませんでした。いつも心のどこかで、なぜ息子を救えなかったのかという気持ちが残っていました。

私にとってアンケート結果は大きなショックでした。しかし,このアンケート結果を学校や教育委員会に隠蔽されたことはさらに大きなショックでした。私は学校や教育委員会を信頼して,我が子の教育と安全と将来を委ねていました。しかし,いじめに背を向け見て見ぬふりをしただけでなく,真実を隠蔽しようとした学校と教育委員会には,二重の意味で裏切られたという気持ちを抱かずにはいられません。

真相を解明し,いじめを根絶する上でアンケート結果の公表は必要不可欠な第一歩です。私はその第一歩すら踏み出すことができず,苦悶の日々を送りました。こんな苦しみを味わうのは私を最後にして欲しい。そう思っておりました。

しかし昨年の9月に起きた鹿児島県出水市の息子と同学年だった女生徒のいじめ自殺事件でも同じようなことが起こっています。大津の事件よりひどい内容です。アンケートすら遺族の方々に対して開示すらしていないのですから。先日この事実を知らされ、出水市教育委員会に連絡したところ、出水市議会においてもアンケートの開示をしない旨の決議がなされたそうです。

この件について第三者調査委員会の委員に「このようにアンケートを開示されないケースは通例なのか?」と尋ねたところ、「これが今の日本の常識になっている」という返事でした。これが常識であっていいはずがありません。アンケートは隠ぺいすべきもの、という学校・教育委員会の常識に、私たちは声を大にして訴えなければなりません。そんなことが常識であってよいはずがないのです。

どうして自分が亡くなったのかさえ知ってもらえない。遺族の方々の苦しみを考えると耐えきれない気持ちがこみ上げてきました。

どうか議員の先生方、マスコミの皆様方、そして文部科学省の方々、子供の目線に立って、自分の立場に置き換えて、そしてこの問題を考えてください。そして伝えてください。真相が解明されないからこそ真の再発防止策がとれなかったという事実を。そして、真相解明を怠ったがために多くの若い命が失われてきたという事実を。

今日の会見がいじめと自殺を根絶することのきっかけになることを願ってこれで私の会見を終わらせて頂きます。

以上


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