第三者調査委員会 委員各位

本来ならば、昨年10月時点にて設置されるべきこの第三者調査委員会でしたが、事件当時、私どもに対して当時の文科省指針に則った調査委員会設置の説明は無く、その後行われた学校主体の調査についても3週間余りで打ち切られ、そのずさんな調査が明るみとなって今回の再調査になったと認識しております。昨年11月に学校側の調査が打ち切られた後、個人的な調査を続ける中で知りえたことは、今回実施されたアンケートのA、B、C、Dとランクに振り分けられた330名余りの生徒さんからの告発の、そのほとんどが事実であったのだと確信したことでした。

滋賀県警が既に学校生徒さんに対する聞き取り捜査を始めていたり、時間的な経過もしている状況でありますが、つい最近この事件は起きたのだというお気持ちで、昨年書かれた生徒さんお一人お一人の思いの詰まったアンケートをしっかり見ていただきたくお願い申し上げます。

私たちの一人息子「広樹」が、私たちの前からいなくなってから10カ月余りが過ちました。いまだに私たち家族は息子広樹の死を受け入れられず、妻は毎日広樹の仏壇に「広樹のお弁当」を作って供えています。

息子はひょうきんな性格で、初めて会った人でも年齢に関係なく直ぐに友達になってしまう子でした。同級生の親御さんや近所の方からも親しみを込めて「ひろき」と呼ばれておりました。下手なジョークで家族を笑わしてくれる本当に心の優しい子でした。文字通りわが家のムードメーカーでした。

小学校の時に入れていた学童に迎えに行くと、いつも下級生の子の面倒を見ている姿を目にしました。中学校になって卓球部に所属し、一生懸命に卓球に打ち込む傍ら、やはりここでも下級生の面倒見が良かったようで、アンケートの下級生方々からのコメントの中にもそれが表れています。本当に卓球が大好きで、「また新しいサーブを考えたんや」と得意げにいつも話してくれ、亡くなる2日前にも卓球の試合があり、「今日がんばったんやでー」と言ってその日の試合の話をしてくれていました。

そんな息子が、生まれたときから住んでいるマンションの最上階から昨年10月11日に飛び降りました。

どんな気持ちでその決意をしたのか。そこには、息子の「いじめ」に対する抗議を、自らの命を持って伝えたかったとしか私たちには思えません。

この「第三者調査委員会」では、息子が13歳という短い人生を自ら閉じなければならなかった、その真相を明らかにし、2度と同じような「いじめ」による自殺、「いじめ」という犯罪の被害者や加害者に、子供達がその当事者にならぬよう求めて行きたいと考えております。

私たちは、中学校の教員がさまざまないじめ行為を目にしておきながら、単なる悪ふざけか、いたずら、からかい、あるいはせいぜい軽い程度のいじめとして捉え、事態の深刻さを看過し、またいじめについての生徒さんからの報告に対しても何らの措置もとらずに、ひたすら楽観的な見方に終始していたことが、大きな問題であると考えています。

なぜいじめを発生させてしまったのか、なぜ早期に発見できなかったのか、なぜ早期に対応できなかったのか、こうした点を徹底的に解明することなくして、今後の「いじめの根絶のための指導方法・対策」などを示すことは出来ないと考えており、その為にも学校内部で起きていた事実の全てを白日の下にさらし、そこから私たちの息子の自殺の原因が何であったのかについて徹底的に議論を行っていただき、真相の解明をして頂ければ幸いです。私たちは、今回のような悲劇が二度と繰り返されることがないようにしたいのです。

いじめによってこれまで多くの前途ある若者が自殺に追い込まれてきました。私たちの息子が亡くなってからもまだ自ら命を絶つ若者が絶えません。その反面、今まで表面化していなかったいじめの事案に対して被害届が出されたり、隠蔽されつつある事案が浮き彫りにされたりと、いじめの発見に繋がり、「子供たちの助けを呼ぶ声」が聞こえるようにもなってきたのも事実です。

過去の事例を見ますと、「いじめ自殺事件」が起こるたびに、学校は再発の防止を表明してきましたが、しかしそれは一向になくなることなく今日に至っています。今こうしている瞬間も、誰にも言えない苦しみにもがいている児童・生徒がいるはずです。

どうしていじめはなくならないのか。いじめをなくすためには、何が必要なのか、形骸化したいじめ対策ではなく、真のいじめ対策がこの「第三者調査委員会」から全国の学校、教育委員会、行政に対して提言していただければ、どれだけ息子は喜ぶかと思います。

最後に「第三者調査委員会」の皆様にお願いしたいことがございます。

日本全国の皆様方から、本当に多くのご支援のお手紙やメールを吉原稔法律事務所が開設するホームページを通して頂きました。その中には自分自身が過去に「いじめ」に遭っていた方々や、自分の子供さんが「いじめ」に遭った、又は現在も遭っている方々からの悲痛な叫びが寄せられました。

今回の「第三者調査委員会」は息子の問題について話し合われるわけですが、多数寄せられているこれらの悲痛な叫びも是非受け止めていただき、ご議論いただければ幸いです。

いじめをすることは悪い事なのだ、された相手を傷つける犯罪なのだ、いじめは何としてでも早期に発見しなければならないのだ、そして一番に発見して欲しいのは、子供のそばに身近にいる現場の先生たちなのだ、ということを伝えていただきたいのです。

そして子供たちにとって、なによりも学校が安心で安全である場所にしていただきたいのです。

どうか亡くなった息子「広樹」の目線で、学校に通う子供たちの目線でご議論を頂く、そのような委員会にしていただくことを、息子「広樹」に代わりまして強くお願い申し上げます。

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